点字付き絵本
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点字付き絵本 1 読書の始まり、人の始まり 絵本は子どもを読書の楽しみへと誘う(いざなう)始まりです。その時、小さな子供の傍には、その子よりも年上の人がいます。お母さんやお父さんのような家族かもしれません。保育や教育の先生かもしれません。あるいは見ず知らず人かもしれません。その人は、いっしょに絵を見て、まだ文字を知らない子どもにストーリーを語ります。それは、人の読書の始まりの、よくある光景です。 絵本は、活字だけの本と違って、文字も絵も楽しむことができる特別な本ですが、その価値はそれだけに留まりません。まだ文字を知らない子どもが、誰か文字の読める人と共に読書できる特別な本です。さらに、文字も絵も楽しめるようになっても、一人でも、数人でも楽しめる特別な本です。成長して絵も文字も楽しめる年頃には、当然にまだ文字を知らない子どもに読み聞かせして、共に読書していくことができるようになる特別な本なのです。 本を読むことは、人としてあたりまえの権利です。文字を知らない小さな子どもにとっては、読み聞かせしてもらえることは、人としてとうぜんであたりまえの権利です。 2 点字付き絵本が開く一つのあたりまえ 点字を自分の文字としている人にとって、点字で書かれていない、絵を触れることができない絵本は、絵本ではありません。自分が楽しむことができませんから、そして、子どもの読書の始まりの時期に、自らが関わることができませんから。例えわが子の目が見えていたとしても、目の見えないお母さんにも、文字を知らない子どもにも、話を知り語る術(すべ)がありません。点字付き絵本は、親子のあたりまえの光景を取り戻します。同じように、おばあちゃん、おじいちゃんと孫が、兄弟姉妹が、目が見えない子も見える子もみんなと一緒に・・・。場合によっては、点字を自分の文字としている目が見えないお姉ちゃんが、目が見えるまだ文字を知らない弟に読み聞かせすることもあるでしょう。その逆も、いろいろとあるでしょう。文字を学び、ものを知り、心をうち、まねをし、共に語り、共に泣き、共に笑う・・・、人としても大切なものが絵本から始まると言うことは、きっとあることでしょう。 人が人に関わる、人としての始まりに大きな影響をもたらす、この絵本というものを、わたしたちはもっとよく知り、誰でもが利用できるように、皆でもっともっと大切にしていく必要があります。点字付き絵本は、そのための一つの夢が形になったものです。 3 点字付き絵本 ぐりとぐらを読んで(感想) Rさん 筑波技術大学3年(点字使用者・F盲学校出身) Rさんの紹介:彼女は、中学生の頃、眼の手術後に突然、視力を失いました。それまで見て読んでいた墨字は全く見えなくなりました。その後、点字を学習し始めました。やさしい言葉から読む練習に使ったのが点字シートが貼ってある絵本だったそうです。福音館書店から、2014年11月末に点字付き絵本「ぐりとぐら」が筑波技術大学へ届きました。縁があっての寄贈でした。早速、彼女はこの絵本を手にとり、たいへんに喜び、直ぐに次の感想を伝えてきました。 これから、筑波技術大学では、この「ぐりとぐら」を、点字使用学生へ次々と順番に貸し出して回していく予定です。まずは、以下に最初に届いた感想を紹介致します。 ーーーーー 1.画の解説がついていたので、絵を触っても、点字を読んでも、このページにはこの動物がいるのかなどと分かって、点字だけの本では味わえない楽しみがありました。 2.表紙に点字でも「ぐりとぐら」と書いてありますが、墨字の浮き文字でも書いてあるので、面白いなと思いました。しかも活字ではなく、実際の作者がデザインされた手書きの字そのままということで感激しました。私は中学生の時、点字に切り替えたので、墨字を知っています。久しぶりに墨字を手で読むことができました。また、先天盲の方でも、墨字を知る機会になり楽しめると感じました。 3.画を触った感触がいろいろで、ついつい触るのが楽しくなりました。ぐりとぐらの服の違う感じや、たまごのつるつるでも、絵本の余白のつるつると違うのが驚きでもあり、どんどん触って楽しんでいました。 4.将来、結婚して子供が生まれたら、この本は絶対に読み聞かせします。でもその時というよりも、今すぐにでも欲しいです。でも、高いので、購入はちょっと先だと思います。 5.本の角を丸くカットしている絵本は、子供のための安全上の配慮でしょうが、本を触って読んで使っている大人の私でも、角に尖った引っかりがなく、とても安心して使えると改めて感じました。私は子供の頃、弱視でしたが、本の角でほっぺたを傷つけたことがあります。視力が弱い子供は、本に目を近づけて読みますから、ページめくりで顔、特に目を傷つけるリスクが減り、角が丸い本は安全だと思いました。
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